あきらめていたことが出来る喜び 【触覚書道】
《刻字とは》
自分で書いた書を、木に写してノミで彫り、それに着色を施したり、箔をはったりして一つの芸術作品として仕上げたもの
こんな感じで作ります。(音楽が流れます)
≪触覚書道の誕生≫
令和元年の夏、刻字仲間4人で初のグループ展を開催しました。
その時観に来てくれた知り合いの方が、体調のすぐれない友人に私の刻字作品をプレゼントしたところ、
手で作品を触りながら
“作品からエネルギーがもらえる” と喜んでくださった
この言葉がこの物語の始まり!
触ってエネルギーを感じてもらえるのなら
視覚障害の方にも刻字を楽しんでいただける、
これって刻字のもっている新たなポテンシャルかも?
とは思いながらも、どう具体化していったらよいのかわからいまま私のなかで温めていました。
そこに昨年の新型コロナの流行。
夏の毎日書道展に続き令和3年1月の日本刻字展も中止、
この連絡ハガキを受け取った瞬間 歯車が動き出したのです!
それなら、光栄書道会でグループ展を開催し、その中で視覚障害のある方々にも刻字の作品を触って鑑賞してもらうことができるのでは
早速、メンバーにこの思いを伝えたところ、6名が賛同してくれました。
チーム光栄 結成!!
そして、神の巡り合わせとも思える
全盲のKご夫妻との出会い
強力な助っ人を得て、
第1回グループ展
『眼と指で楽しむ 書の彫刻 ~チーム光栄 with Blind People』
開催の運びとなりました。
会期:令和3年6月1日(火)~6日(日)
11:00~18:00(初日 14時から、最終日 17時まで)
会場:泉の森会館 2Fギャラリー http://izumino-mori.net/
小田急線狛江駅北口 徒歩1分
視覚障害者の方はご来場前日までに
1221ikeyama@gmail.com
にご連絡いただければ、狛江駅までお迎えに参ります。
《出品者と主な作品》
・池山光琇(主宰者)
祈(PEACEFUL):3段彫りにして、英語で”PEACEFUL”の上に金文で”祈”と彫ってあります。平和への祈りを込めた作品です。
・松原琇華
奏:音楽に親しんでおりますので、“音を奏でる”「奏」という字を作成しました。「奏」の字の五本の横線は五線譜、左にある二重線は終止線、印は音符の形にし、楽譜をイメージしました。
・寺澤陽子
陽:愛着のある自分の名前の字を表現してみました。凸と凹彫りの併用が気に入ってます。
・中嶌双寛
塁:東京都還暦野球協会(60歳以上)に加盟しており、投手をやってます。一塁から本塁の中でマウンドが1番高いので立体的に掘った作品です。
・柏原双煌
朋(ONE FOR ALL):ワールドカップの日本代表選手の闘いに感激しOne for allと朋の文字を円陣の様にまるく書きました。ローマ字と漢字の重なり方が難しかったです。
・奥隅琇瑛
知好楽:論語『子曰、知之者不如好之者、好之者不如楽之者』(子曰く、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず)
理解している人は知識があるけれど、好きな人にはかなわない。あることを好きな人は、それを楽しんでいる人に及ばない、ことわざ「好きこそ物の上手なれ」と似たような意味です。
物事を楽しんでいる様子、熱中している様子を、字の形と色で表現しました。
・奥隅琇源
侍:書を彫る刻字らしい文字として、日本のイメージがしやすい漢字として、「侍」を選びました。
色は、強い印象を表現したいと思い、黒と赤を選びました。
ここにご紹介した他にも、素敵な作品を多数展示します。
賛助出品として
薄田東仙先生(毎日書道会理事、日本刻時協会会長)と
元木藤江氏(泉の森会館 館長)
の作品も並びます。
薄田東仙先生の作品:People
薄田先生は日本刻字協会の会長を務められている私達の刻字の師匠です。
長年、刻字芸術を海外に広める活動をされており、この”People”は
ヨーロッパなど漢字圏ではない国の方々も見ただけで
コンセプト 世界中の人々が手を取り合って共存していく
がわかってもらえるので、色々な”People”シリーズを作成されています。
今回の展覧会(晴眼者と視覚障害者が手を取り合ってお互いを高めていく)に
まさしくピッタリの作品をお願いして提供していただきました。
ポスターの背景にも使わせていただいております。
さらに企画を進めるにあたり、わざわざ足を運んでくださるお客様に、
観て、ただ作品を触っていただくというだけでは十分ではないのではないか
どうやったら来てよかったと喜んでいただけるか
を考えに考え、
ワークショップ と 独唱コンサート
をやってみることにしました。
≪ワークショップの開催≫
視覚障害者の方に(晴眼者の方は眼をつぶって)実際にお好きな字を書いていただきます。
こちらは、実験的に全盲のKご夫妻に書いていただいた字に私が色をつけたコラボ作品です。
実際に K夫人が書いている映像はこちらです。(音声が出ます)
視覚障害者の85%は後天的に障害者になられた方だそうです。その時期によって様々なんですね。
K夫人は3歳までは見えていたそうで、その時までの記憶はあるそうです。
その後も、漢字に興味をもたれていて、現在も漢点字のサークルに所属され、漢字の勉強をされいるのだそうです。
それにしても、左手のガイドがうまい、素晴らしい出来栄えです。
実際のワークショップではどのくらいうまくいくかは分かりませんが、視覚障害者の方でも書道を楽しめる何か新しいきっかけになればと思っています。
是非ご来場いただき、試してみてください。
≪独唱コンサートの開催≫
チーム光栄のメンバーの一人 松原琇華 さんは、私の娘と同い年で、幼いときから習字を習いにきてくれて、今でも刻字と書道を続けてくれている方
彼女の本職は桐朋学園出身のプロの声楽家 松原えりか さんなのです。
彼女も去年一年、コロナ禍の影響で大変でした。
そんな彼女に頼んで、ご来場いただいた皆様に感謝を込めて
無料の独唱コンサートを企画しました。
松原えりか 独唱コンサート (入場無料)
6/5(土) 14:00~14:30
泉の森会館 3Fホール
松原えりか(ソプラノ):
プロフィール
桐朋学園大学大学院修士課程声楽コース修了
二期会オペラ研究所第60期マスタークラス終了
第36回ソレイユ声楽コンクール入選
二期会準会員、女声アンサンブルグループ「レガーロ東京」所属
桐朋学園大学嘱託演奏員
プログラム(予定のため変更の可能性があります):
シューベルト;鱒
シューベルト;野ばら
リスト;おお、愛しうる限り愛せ ~『愛の夢』より
團伊玖磨;ひぐらし
團伊玖磨;紫陽花
ヨハン・シュトラウス;ふるさとの調べよ(チャルダッシュ)~喜歌劇『こうもり』より
このグループ展は、晴眼者のみならず視覚障害の方にも書道芸術を楽しんでいただくための初めての試みとなります。
どのような結果になるかは分かりませんが、とにかくやった先にはまた新しい道が見えてくる
そんな思いでのスタートです。
これからも、チーム光栄 は視覚障害者の方と手を取り合って、お互いが高め合えるような新しいプロジェクトをやっていきたいと考えています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
この活動は継続発展し、2022年9月に 一般社団法人触覚書道刻字協会 を設立し
東京都障害者福祉会館にて 月1回 視覚障害者を対象とした 触覚書道刻字講座緒を開催
年1回 刻字と視覚障害の方の作品とのコラボ展 を開催 しております。
グループ展も令和6年に第4回展を迎えます。
詳しくはこちらから
★触覚書道刻字協会の ホームページ
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★光栄書道会についての詳細はこちら
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https://kokuzi.com/kyositu/
刻字のワークショップ・書道教室の体験も再開してます!!
オンライン講座にも対応しています!
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