第41回日本刻字展 光栄書道会のメンバーの作品はこちら!
第41回日本刻字展
さて、ここからは光栄書道会刻字部のメンバーの作品です。
どういう思いで作品を作られたかを聞いてみました。なるほどー!
中嶌双寛 ”極”
今回の作品「極」の3段彫りにしました。
何事も「極める」事が必要ではないかと思っています。
私の人生でまだ「極める」事が出来ず人生の目標です。
今回3段彫りの断面が綺麗にならず苦心しました。
自分では簡単に出来ると思っていましたが、イメージ通り行かず苦慮しました。
バックの彫りがまだまだだなあと痛感しています。
彫りは難しいです。
次回はもう少し上手く彫れれば良いなあと思っています。
奥隅琇瑛 ”鹽(塩)”
今回の作品「塩(鹽)」は、新約聖書の「地の塩 世の光」という言葉から着想を得て作りました。
聖書の中では、塩に関する記述がいくつかあり、塩は腐敗を防ぐことから、役立つもの、優れたものを示す比喩、愛と慈悲を意味しています。
これまでは中国古典から引用した作品を作っていましたが、今回は趣向を変えて聖書の世界をイメージした作品を作りたいと思い、この言葉を選びました。
これまで公募展などで刻字作品を見ていて、黒や青、緑などの背景は多いけど、白系背景の作品は多くないんだな…と感じていました(今回の日刻も白背景の作品は少なかったです)
今回作品のイメージに合わせて白を背景に塗ってみたら、結果的に白を何度も重ね塗りすることになってしまって、いつもより色塗の時間がかかってしまいました。
白の扱いの難しさを知った…というのが、今回の収穫とも言えそうです。
奥隅琇源 ”三楽”
今回の作品は、現在コロナで後ろ向きな世の中なので、前向きな言葉にしたいと考えていました。
「楽」という字の入る言葉で、三楽(さんらく)を選びました。
三楽は、いろいろな意味の解釈がありますが、三つの楽しみという点は変わりません。
自分にとっての三つの楽しみは何かを想像しながら制作しました。
赤色と字のバランスが、思ったよりも良かったです。
雅印を含めた彫り方が、まだまだ未熟なので、次回はその点もしっかりやっていきたいです。
小仲和朗 “巌”
マグマから生み出された巨大な岩をイメージしました。
岩という文字の隷書体ですが、亡父の名前の一部でもあり、父を偲ぶ想いも込めました。
2/3まで掘り下げ文字の表面彫りも施し、立体感とゴツゴツ感が表現できればと考えました。
背景は岩目彫とし、本朱のカシューで銀箔を貼り、硫化させることで生じた漆黒と朱が混在する事でマグマを表現しています。
文字自体にも下地に硫化させた銀箔を、更に窪みにプラチナ箔、最後に金箔で仕上げてあります。
表面彫の表現に課題がありますが、イメージに近いものになったと思います。
寺沢陽子 ”紫苑”
今回の作品への思いは、昨年、母を亡くしまして母への想いを込めました。
母をいつまでも忘れないという意味を「紫苑」という花で表現しました。
髙橋睦子 “陽”
あたたかい感じの作品にしたいと思い「陽」を選びました。
(こざとへん)は天の神がのぼりおりする為のはしご、その前が、玉の光で輝くことを表す形。
漢字の成り立ちを調べ、意味は沢山ありましたが、明、開、清、吉、尊、大、高、温、暖、など好きな単語が沢山出てきたので決めました。
今回、こうやって思いを言葉で表現していただき、一層その作品への理解と愛着が深まったことと思います。
そして、次回作への意欲もうかがえて、頼もしいです。
その時の自分の思いをこうやって作品にすることで、自分の足跡を残していけるのが刻字の醍醐味だと感じています。
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